夏の岩手2
三陸道から沿岸部とアジア民族造形館 / 早池峰山の固有種と紫波町 / 岩手山登山から帰路へ
2023/8/17の記録
朝起きると青空が見えていた。
宮古から遠野側の空は晴れ間があったが、逆側の早池峰山のほうはずっと厚い雲だった。
駐車場に着くとすでにちらほら車が停まっていた。
2016年の大雨で河原の坊登山道が通行止めになってしまったので、この駐車場から早池峰山に登るには今は小田越登山口からだけになっている。登山口まで、先ほど車で通ってきた道を歩き戻る。
木道から始まり、樹林帯を抜けて岩の道に出てからが一合目となっていた。
登りの道中はほとんど白かった。風もある。
事前知識が少なかったが、この山はお花畑で有名らしい。
早池峰山固有の植物種または変種として、 ハヤチネウスユキソウ、ミヤマヤマブキショウマ、ナンブトウウチソウ、ナンブトラノオ、ザラツキヒナガリヤスの5種がある他、北上山地固有種2種-ヒメコザクラ、ヤブヒョウタンボクの分布があるなど、東北地方ではその分布特異性が際立っています。
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所/自然探訪2017年7月 早池峰山(はやちねさん)の植生 ―固有植物など―
ハイマツに紛れて咲く花
ちょうど、花の咲く時期に来れたので道中足元にたくさん見かけた。とくに、ナンブトウウチソウのピンクの群生がすごい。
ハヤチネウスユキソウは早池峰山の固有種。ヨーロッパに産するセイヨウウスユキソウ(エーデルワイス)に最も近いといわれ、日本のエーデルワイスと呼ばれている。ちょっと萎れかけているように見えたが、何回も見かけた。
朝ドラで話題になっていた牧野富太郎は、早池峰山を訪れた際に同行者が見つけた植物に「カトウハコベ」と命名したそう。
明治時代~昭和時代の植物学者・牧野富太郎博士が岩手県にある早池峰山で発見したカトウハコベが、その時同… | レファレンス協同データベース
ナウマンゾウを発見したドイツ人地質学者ナウマンも訪れていたようだ。
また、岩質も特殊で蛇紋岩で出来ている。
濡れると滑る、で有名。遠くから見ると茶色い。あたりの景色は今まで登った山とは違ってあまり馴染みのない感じだった。
尾瀬の至仏山や北海道日高山脈のアポイ岳も蛇紋岩質の山だという。登ってみたくて調べている中で、あれここも?と偶然同じ岩質に気づいた。
北上高地のできかたは岩手山とは違っている。北上高地は隆起準平原だという。
古生層と花崗岩からなるが、蛇紋岩やカンラン岩という硬い岩質からなる早池峰山は侵食から取り残され、そこだけ周辺より1000m近く高い残丘となっている。最終氷河期に北上高地に広く分布していた高山植物は、氷期終了後、温暖化とともに唯一2000mくらい高度のある早池峰山(1917m)に逃げ込んだため、ここにはハヤチネウスユキソウなど固有種の高山植物が分布する。
自然のしくみがわかる地理学入門 (角川ソフィア文庫) 文庫 / 水野 一晴 (著) - p131
遠くまで見渡せずガスの中歩き続けたので、なかなか頂上に着かないな、と思っていた。 長い梯子があったがあたりが真っ白なので高度感はよくわからなかった。風があったので少し怖かった。
山頂の避難小屋は工事中で、多くの方々が作業をしており資材もたくさん置いてあった。
頂上の祠のあたりには剣がたくさん祀られている。
景色がまったく見えなかったのでゆっくりすることなく下山。
剣ヶ峰のほうにも行く予定だったが、岩が濡れて少し滑るのに気をつかうのと、まだ全然晴れそうになく景色が望めなかったので向かう途中で引き返した。 予報を見ると昼には良くなるようだったが、まだ時間が早かったため。
下りでは雨がポツポツ降ってきたり、風がより強くなってきたりした。
一瞬雲の切れ間から青空が見えた。
周りの雲が消えて、緑の中に岩がそこらじゅうにたくさんある。こんな景色の中を歩いていたのか、とそこで初めてちゃんと見えて、気づいた。
身軽に行きたかったのでカメラは持っていかず、すべてiPhone13 miniで撮影
宮沢賢治もこの山に何度も登ったらしい。
駐車場へ戻る途中に、森の木々に囲まれた空間に石碑がひっそりとあった。
書庫「山の晨明に関する童話風の構想」 - 銀河の森と賢治さんの資料館|賢治さんが歩いた銀河の森とたからもの
第二展示室「銀河の森と作品」 - 銀河の森と賢治さんの資料館|賢治さんが歩いた銀河の森とたからもの
百名山バッジを入手しそびれたし、中岳、鶏頭山も繋いで天気の良い時に縦走したいのでまたリベンジしたい。
南側の薬師岳はまったく地質が違うそうだ。
来た道とは反対側、内陸の方へ山を抜けた。途中、早池峰神社を通り過ぎた。
紫波の食堂へ行くとちょうど甲子園の花巻東の試合がテレビで流れていて、平日ランチライムに来ていた地元の人たちみんなが釘付けになっていた。麟太郎麟太郎言っていた。
気分的にカツカレーだったので頼んだら、大大盛りだった。町の食堂のカツカレーってだいたいそうなんだった、と思い出して若干後悔したが、おいしかったしなんとか食べ切れる量だった。カツカレーだけ爆盛りがちなの何故。
少し休憩してから、ひづめゆで汗を流した。
旧庁舎を活用したところで、新しく綺麗だった。サウナ押しらしく、アロマ水をセルフロウリュできたり潜ってOKな深い水風呂があったり外気浴スペースがしっかりとあったり。水風呂がめちゃくちゃ気持ちよかった。
併設しているサイダリーで缶を数本テイクアウトした。これは帰宅してから飲んだが、美味しかった。グァバのフレーバーのものが特に気に入った。
内陸の方に来てからは、独立峰である岩手山の圧倒的な大きさ・存在感に感服していた。これはそりゃ信仰の対象にもなるし、皆の心象風景に影響するだろうと思った。
盛岡、光原社のモーリオで売っているくるみクッキーを買いたかったがお盆の翌日だったため、休館日。ほかにチェックしていたお店もお盆後のお休みだったので一瞬だけ街を歩いてまた移動した。またこんどゆっくり。
この日泊まるところを決めていなかったので、移動しながら役場に電話して馬返しキャンプ場を予約。ビッグハウスで今晩と明日の食料を調達してキャンプ場へ向かった。
数年前に八幡平のホテルに親戚みんなで行くために通ったときから気になっていた地名、「滝沢分レ(わかれ)」。ここだったのか。昔から、かなり複雑な追分だったよう。
キャンプ場は藪の中で、藪蚊がとんでもなくいた。テントを立てる一瞬でプンプンひっきりなしについてきてこれは厳しいかもしれん、と思った。この日はあまりにも蒸し暑すぎた。ここは秋がベストだと思う。
Yのオンラインミーティングのため電波があるところまで出て(山の麓から車で15分ほどで車通りの多い、店がいろいろある大通りに出られるのが不思議だ)、その間コインランドリーへ行ったりホームセンターで蚊取り線香を買い足したりした。
帰りはちょっと暗くなってきていて、馬返し登山口駐車場までの一本道ではヘッドライトで光る目がいくつか見えた。
若干調子が良くなく、車中泊に変更。お腹もあまり空いていなかったので食べず。昼たくさん食べたので大丈夫。すぐそばの自衛隊の演習場の大きな音は21時くらいまで聞こえていた。寝る前に車の中から外を見ると、星が一面に見えた。雲がなく、まわりに光もなく、本当にたくさんの星が見えた。