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ブルーノ・ムナーリの展示を見ました

ブルーノ・ムナーリの展示を見ました

会期終了間際、神奈川県立美術館で「ブルーノ・ムナーリ こどもの心をもちつづけるということ」を見ました。

ブルーノ・ムナーリは画家・彫刻家・グラフィックデザイナー・インダストリアルデザイナーなど様々な肩書きを持つ、20世紀に活躍したイタリアの表現者です。

 

まず目に入ってきたのが「役に立たない機械」。 木や金属、ガラスなどの様々な素材を用いてつくられた、モビールのような「機械」です。 裏と表の関係や、色が塗り分けられた部分のつながり、風を受けて回ったりゆっくり形と影が変わって行くところが面白かったです。

https://ordinarysilly.blogspot.com/

次のゾーンは、知覚・感覚に関するものでした。

陰と陽」という作品は、すべての色や線を対等に扱うというコンセプトで制作されたものです。 正方形の判型の中を区切って、額縁まで含んで色が塗り分けられています。 同じくらいの色面積でも、片方が弱くなりもう一方がメインになるような配色にはなっていません。 補色とも限らず、色面の大きさに応じて色の強弱が考えられていて、すべての要素が同じ強度の構成になっていると感じられました。

自分が普段面をつくるとき、「70:25:5=ベース:サブ:アクセント」のWEB(には限らないか?)のセオリー通りに考える頭になっているので、この試みは面白いと印象に残りました。 色と形は相互に影響しあっていると思うので、すべてを対等なバランスにするのは難しいことだと思います。

読めない絵本」は、文字や絵がない、素材を感じる本です。 実際の作品に触れることはできませんでしたが、本自体がフェルトや木、プラスチックでできていて、めくるときの感じの違いを楽しむことができるものです。

絵本の制作においては、出てくる登場人物やものの大きさに合わせて、中のページのサイズが工夫されていて、ストーリーを読み進める中で引っ掛かりをつくっているところが印象的でした。

https://www.ehonnavi.net/

トレーシングペーパーの重なりで気配や時間を表している「きりのなかのサーカス」は、大学生のときに授業で初めて見た記憶がうっすらある。 この技に感動して、安直に取り入れて試してみたりした…。

https://www.amazon.co.jp/ 

知育玩具のシリーズがどれも素晴らしくて欲しくなりました。 長方形や半円のパネルを組み合わせてアルファベットを形づくるもの、絵が描いてある透明フィルムを重ねて、オリジナルの絵をつくれるものなど、元の形は単純だけど、組み合わせてできる形の多様性があります。

https://www.corraini.com/it/catalogo/scheda_libro/337/Pi-e-meno

(もはやうろ覚えだけど…何かの)パッケージのロゴをどこまで崩して、認知できるか限界を検証する作品が面白かった。 パターン出しの柔軟さ…頬を平手打ちされたような感じでああがんばろ…と思った。

折り紙のように、紙を折ったり曲げたり切り込みを入れてつくられた「旅行のための彫刻」は、折りたたみ持ち運んでどんな空間でも美的体験を可能にします。 作品自体が重かったり大きかったりして、美術館に足を運んで見る、ことが当たり前であった「彫刻」というものの概念を変えるような作品です。

http://www.moma.pref.kanagawa.jp/ 

技術が進歩し、「コピー機」が生まれ、複製が容易になったときにつくられた作品もよかったです。 スキャンする際に手を加えて部分的には複製だけれど、出力されるものはオリジナルです。 新しい技術を生かしながら、自分の方法で新しいものをつくる、ムナーリの「つくる姿勢」を見て背筋が伸びる感じがしました。

ムナーリは多くの切り口で、「観察」「仮定」「設計」「検証」を繰り返していました。 「子どもでも、誰でも作品をつくることができる」ことを目指していたそうです。 「作品づくりに参加する人によって、遊びのあるアウトプットができる」方法を、生涯、「こどもの心」を持ち続けながら探求していたのだと思いました。