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カラースキーム作成のプラクティス

「色」は難しい

仕事の中で設計するとき、自分の生活の中で着る服を選ぶとき、ものを買うとき、身近に存在する視覚要素であり、常に選択が必要とされる要素です。

デザイン業務の中での「色」は、視認性や季節感など状況に応じて使い分ける必要があります。 しかし「色」自体には意味伝える機能はなく、基本的にはことばを補うために使うものです。

「色」という概念を、体系的に学ぶことは習得のための一つの手段だとも思います。 まず業務上、デザイナー同士で共有することが容易になりえます(体系的なイメージで意図を伝えたり具体的な修正の意思疎通ができたりと、効率的になる、という体感はある)。 理論に基づくことで、誰が見ても「気持ちがよくない」ことは少なくなるとも思います。 色彩検定やカラーコーディネーター検定の勉強をして基礎を知ることで、色選びに自信をもてたり他人に伝えるときの説得力も増すのではないか?と、実践するようになってから思います。学生時代に受けた検定の勉強はうっすら?と地にあるような… [余談] 色彩検定の中でもUC級(色のユニバーサルデザイン)なるものも生まれてきています。「色覚の多様性に配慮した、誰もが見やすい色使い」についての検定。(2018年12月初開催)世の中の流れに応じて必要とされるものが変わっていく、身につけるべきことも変わっていくなあ。

体系的な色彩理論がベースにありつつ(ない場合も?)、個人がこれまで培ってきた「美的感覚」みたいなものがそれぞれのデザインの個性になっているんじゃないかなあ、と感じます。

オリジナルのカラースキームをつくってみる

カラースキームツールや配色辞典はすでにたくさん存在します。 既存のカラーパレットを引用してデザイン作成すれば、ある程度はきれいにできます。 それを使うだけじゃなく、自分の引き出しをつくる、ということで「カラースキームを生み出す」というプラクティスをしてみます。
(参考:https://uxmilk.jp/69330

  • 自分の目で見て切り取った写真から、色を抽出する
  • 自分が好む・魅力的だと思う組み合わせの傾向を知る

サンプルは、instagramやiPhoneのカメラロールに撮りためたストックから。建物や構造など、偶然目に入った人工物に限定しました。 色の割合と数は気にせず、目に入った順に並べて、組み合わせのみ見ていきます。

以下の色についてのまとめ(とてもわかりやすい!)を参考に、気づいたこと。
デザインに関わるすべての人が知っておくべき色と配色の基本 | ベイジの社長ブログ

ソフトトーン/ライトトーン 中差色相×4の組み合わせ
(青・紫・橙・薄黄緑←これは微妙…?)

ソフトトーン/ダルトーン 中差色相×3の組み合わせ
(黄・青・緑)

ソフトトーン/ダルトーン 中差色相×3の組み合わせ
(赤・黄・緑)

トーンでいうと「ソフト」「ライトグレイッシュ」「ダル」のあたり。 (風景の中にビビットやストロングのトーンのものはなかなかないので当然のことかもしれないけど)明度が高すぎず低すぎず、彩度も高すぎず低すぎず、中間色(濁色)の組み合わせを好むみたいです。 配色に関しては、色相環にあてはめて比べてみたけれど、いくつかの配色がある中でどれも「中差色相の組み合わせ」だとわかった。(判断がすこし不安ではある)

切り取った景色にはさまざまな情報が含まれている。 光が当たっているから「明るい黄」に見えているけれど、周りの状況から切り離して白い背景の上に色の要素だけ並べてみると、写真と同じ色に見えなかったりした。 暗い青と隣り合っているから「鮮やかな橙」に見えたり。 わたしは、自分が見ている色に近いところをできるだけ探して抽出したが(もっと明るく見えるのに!と思いながら…)、同じ写真でも人によって抽出する場所・色や数がきっと変わるだろうなと思う。その違いを見てみたい。