つくり方と考え方について
仕事の話をもらった(結局受注はしていない)きっかけで、約1年前に作ったポートフォリオや学生の時の就職活動に使ったポートフォリオを見返していた。 2014年の初めくらい、(極寒の学内ギャラリーで)「24時間フィジカルに制作をおこなう」というコンセプトのグループ展示に参加したときの制作物を見ていて、今の自分のつくり方の傾向と性質、みたいなものを考えさせられた。
複製と整列 「モノを作る過程」と「一日の使い方」を考えることを目的として、24時間通しで身体的に作品を制作する展示に参加しました。 Illustrator上で簡単に行うことができる作業を自分の手で行い、コピー機で印刷して簡単に複製することができない金銀の色を使うこと、紙の加工をすることを取り入れました。 平面作品であっても、レイヤーの重なりや厚み、見ただけではわからない仕組みを感じてもらいたく思い、めくって見る「触れるグラフィック」を目指しました。
「何をしたいか」「何を試したか」が明確だけど、説明があることで成り立っている。「フロー」が決まっている。「工数(1セット当たりの平均作業時間)」もおおよそ想定できる。 色を塗って重なった部分が、トレーシングペーパーの厚みで薄まってほどよくグラデーションになったのは想定を超えておもしろかった。塗り方で濃度を調整できた。
コンセプトを決定し、それに基づきルールを決めて組み立てていく。 今見返してみると、だいたいそういうつくり方をしていた。 オブジェ制作のときも然り。
学生の時、頭で考える時間と手を動かす時間が8:2くらいの割合だった。 「実学」を掲げていたので、具体的な制作課題が多かったのもある。 コンセプト決定までの、アイディア出しの段階では「言葉」のバリエーションを考え、そこで的を絞り、的から外れすぎないよう線上で手を動かしていく。
壊せない
いったんゼロにするのを面倒臭がる
経験的に、コンセプト決定まで時間と労力をかけてきたため、それをなしにして0から考え直すという行為がこわいと思ってしまう。そこまで積み上げてきたものを捨てられないで使いまわしてしまうこともある。(どれを残すか、どれを大事にするか、どこまで捨てていいかなど取捨選択できなくなって壊せなかったり) そうすると、結果的に新しい案にはならない。
あと、デッサンや色面構成とか、「絵をつくる」基礎体力みたいなところに不足を感じてしまうことはある。 意味を考える前に、そこにあるものの形を捉えて描く力が、前提で必要なこともある。 言いたいことをもっとちゃんと伝えるためのスキルというか。 観察して、規則を発見したり体系化することはできると思う。 「言葉で説明できること」と「絵で見せること」、アウトプットの手段としてどちらもあれば説得力が増す。 絵をつくる経験の積み重ねが乏しかったとはいえ、このままでは何も変わらないので、1つ教えてもらったことはそのときだけに生かすんじゃなくて、応用できるところを見つけて1以上取り入れていくとか。意識で変えられるところは意識して、法則とか、今からでも頭に入れられることはつくるときに実践して、身につけていくようにしている…
オブジェの件のときもそうだが、最初に決めたルールをはみ出るオーダーが多くなり、思い通りにならなくなってきたら、無理やりまとめあげるところがある。 ルールをガチガチに決めるからこそしんどくなる。家事と同じ。あきらめてしまう。 自分が納得していなくても、「求められたものができたのでおk」という態度になるとか。自覚はある。 修正を重ねていく中で投げやりになってきて、こうなっていくのは私のせいではないよ〜そうして欲しいっていうからこうしてるんだよ〜という気持ちで、心がなくなる。「心ここに在らず作業」は背中からわかるらしい。自覚はある。 (以前、言うとおりにしないと終わらない制作を繰り返ししていた後遺症かもしれない。ハンドリング完全不可能絶対服従の場合、心が少しでもあると無駄に消耗してしまうことに気づいたため。その中でももうちょっとうまいやり方を見つけられたのかもしれないけれど…それはもうベストを尽くして無理だったのでこの話は終わり)
最初運転席で楽しく運転してたけど、助手席から色々言われてるうちにやる気なくしてハンドル離しちゃって気づいたら行きたいとこに着けてないかんじ
— _ (@r_emats) 2018年4月24日
こだわりがなくなる
いいときもあるしよくないときもある。 プライドを持てと。好きじゃなくても愛せなくとも自慢できなくとも、最低ラインの「きれいだよ(本心)」を言えるくらいの気持ちを持てるように。 理由があって説明できれば納得してくれたり話し合いが可能な「人間」相手の場合は、ハンドリングして少しでも自分がいいと思う&クライアントの意図を反映した&ユーザーに効果がある、うまく折衷したちょうどいい塩梅の方向へ進めていく。 その操縦が可能な場所にいるということ。
手間を惜しむな、全部捨てても構わないものなんだから、壊せ、次々つくれ、そして壊してまたつくれ→トライ&エラーを繰り返せ
貰ったもの、盗んだものは繰り返し使って自分のものにしろ
ハンドリングをあきらめるな、目的地まで、できる限り自分が思い描くルートでたどり着け
これらが今忘れないでおきたいこと。
見るだけの一方的なグラフィックではなく、見る人が主体性を持ってそのグラフィックを「体験」するようなものをつくりたい、と、以前も今も思っていることに気がついた。この作品や卒業研究の過程の作品や、今の仕事や。 ジャンル・媒体・形式の話ではなく、根幹の部分。