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サンタはいた

サンタはいた

子どもの頃のクリスマスは、それはもう楽しみなイベントだった。

小さめの白いココット皿で一人用につくられたチキングラタン
ちぎってお手伝いをしたレタスとトマトのサラダ
モントンを使ってスポンジを焼いて、生クリームを泡立ててたっぷり塗り、イチゴとホイップとカラースプレー、そしてアラザンでデコレーションをしたホールケーキ

思い返してみたが具体的なご飯の記憶はうすい。毎年同じものが出てきたわけではなかったかも。チキンのときもあればピザのときもあったような。

毎回決まって自分がつくっていたホールケーキの印象は強く残っている。電動ミキサーとパレットナイフ、ゴムベラはケーキ作りのときしか使わなかったが、それらを使ってケーキを作るのが楽しくて好きだった。

クリスマスのご飯は、ごちそうだ!!と思っていたことは覚えてる。

テレビを見ながらみんなでご飯を食べて、お腹いっぱいになったところで少し休憩。
ある年、(たしか)親に促されて、自分と弟の二人で、2階の子ども部屋の窓を確認しに行った。
すると窓にサンタさんからの手紙が貼ってあった。
サンタさんの字は、「まんがなるほど物語」で読んだような英語ではなく、ワープロで打った機械的な字で日本語だった。手書きだったらイメージが崩れて、誰の字だ?と詮索してしまったかもしれない(考慮されていたのか)。「ウッドデッキを見て」というようなことが書いてあったから、二人で急いで階下に向かって掃き出し窓から外へ出た。
ウッドデッキの角の方に、包み紙がかかった箱があった。「サンタさんが来たんだ!!!!」と喜んだ。

手紙があったのはその一回だったと思う。それが何歳の時だったか定かではないが、その年以降ご飯のあと「そろそろサンタさんきたかな?」とウッドデッキを確認するようになった。雪が積もる年も変わらずウッドデッキにプレゼントが置いてあった。

何年か経って、うすうす気づいていたのか、最初から心のどこかで信じていなかったのか、弟が何度も「まだかな」と窓から外を覗いているのを見て、「置く隙がない!」とちょっとハラハラしていた。

それからさらに何年か後、親の手から「天使の美肌水」をもらったとき、もうこれから自分のところにはサンタは来ないんだ、と悟った。小学6年のクリスマスだった。