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春の青森1

春の青森1

出発前日の久慈平岳 / 南部から尻屋崎と大間崎 / 縫道石山とキャンプ / 仏ヶ浦、脇野沢から青森市 / 八甲田大岳残雪期ハイク

2023/5/2の記録

早朝5時出発。放牧された寒立馬を見に、尻屋崎へ向かう。
道中のコンビニでコーヒーを買う。早朝にもかかわらず店員さんがすごく元気だった。

三沢のあたりから湖や沼地が多くなってくる。いくつも通り過ぎた。
子どもの頃にテレビで流れていたCMの「オオセッカの生息地、仏沼」のフレーズを思い出す。絶滅危惧種のオオセッカという留鳥が住む地として、ラムサール条約に登録された頃(2005年)に流れていたんだと思う。

六ヶ所村のガソリンスタンドに立ち寄った。支払いは現金のみ。
向かいのコンビニでドーナツとコーヒーを買った。このコンビニの店員さんたちも元気だった。
集落ごとに、入り口のところに看板がある。お金がある自治体だなと思った。六ヶ所村は、元々あった6つの集落が集まってできた村というからきっと6つ看板があるのだろう。

歴史 - 六ケ所村 Official Web Site

家に、Yの持ち物である「六ヶ所村(馬場仁)」の写真集があったのを思い出して帰った後あらためて見てみた。原発関連施設にまつわることの記録ではなく、それより前のむつ小川原国家石油備蓄基地開発の頃の記録だった。
少し前にネットで話題になっていた公式には無い謎の記念硬貨のモチーフになっていた出来事。(結局あれは、高専生が遊びでつくったものが広がったとかだった。本当か定かではないがツイートで結末をみた。)

“存在しないはずの謎コイン”最終章 「奇跡体験!アンビリバボー」との青森・むつ小川原取材で浮かび上がってきた新説とは(前編)

写真集で印象に残っている部分。施設建設のために元々住んでいた土地を売って近くの土地へ移り住む人々が新しく建てた家は、得たお金を使っていて豪華だ。それが見開きで並ぶページが強い。家と家主を一緒に写した写真はもの寂しい。

東通村を通る一番沿岸の主要道沿いにトントゥビレッジという施設がある。その横を通り過ぎた。「トントゥ(:フィンランド語で、森や人間の住む家に棲みつく妖精)」を冠しているので小人が住む森っぽいコンセプトで、滑り台とか屋内遊具があって子どもの頃行ったのを覚えている。当時はまったく気にも留めていなかったが、東通原発のPR施設のため、唐突に「原子力コーナー」がある。

施設案内 | 東通原子力発電所PR施設 トントゥビレッジ

日本最大級の砂丘「猿ヶ森砂丘」は、東通村の東岸にある。陸上自衛隊の訓練場になっているので一般には立ち入りできないというのは有名。砂丘の北側の少し高いところにある集落から見えないかな?と思って立ち寄ってみた。「尻労(しつかり)」と読む。車を止めるようなところがなかったので外に出て見ていないけど、砂丘は見えなかった。行き止まりの集落なので、分岐まで戻って尻屋崎を目指した。

砂丘を見たくて危ないことになってるnoteも、この旅の少し前に読んだ。

地理院地図の破線に希望を見出してはいけない|地図ねこ

しつかり は、アイヌ語由来の地名と言われている。「山の手前」という意味。同じ語源をもつ地名は北海道にもある(静狩)。アイヌ民族文化研究センターのサイトに詳しく載っていた。北海道、東北はアイヌ語由来の地名だらけなので気になって調べ始めるとキリがない。

バックナンバー:青森県東通村の「尻労」と長万部町の「静狩」

尻屋崎手前の展望台より北海道をのぞむ

尻屋崎は風が強くて寒かった。
以前は一帯に馬を放牧していたが、馬が怖がる飼い犬を連れ込む人が多く、昨年放牧をやめてしまったようで残念。少し離れた牧場に馬たちはいるとのことだった。(追記: 今年の7月に試験放牧が始まっていた!いない景色がむしろレアだったのかも)
せっかく来たので、白亜の灯台に登った。「崎」にいることがはっきりとわかる地形が見えた。なだらかな桑畑山に立ついくつかの大きい風車。

反対側の出口から出て、馬たちがいるところを少し見学した。遠くに小さく見えた。

1994年2歳の私と祖父と寒立馬たち

沿岸をひたすら進んで次は大間崎を目指した。本州最北端もせっかくだから行っておきたかった。

下風呂温泉郷を通り過ぎる。
未成線のアーチ橋が足湯に活用されているらしい。大間に未成線があるのは帰ってきていろいろ調べてる中で初めて知った。太平洋戦争末期まで建設を続けていたが、頓挫したそう。今、青函トンネルは津軽半島の龍飛崎からつながっているが、青函ルート構想のひとつだったとのこと。隧道が今も点在している。

大間線(未成線)

大間崎も風が強かった。
2019年に訪れたときには対岸の北海道が見えた記憶が薄かったが、この日ははっきりと見えた。駒ヶ岳の頭が白い。
青森市の街へ行くよりも函館の街の方が近い。工期が伸びにのびている建設中の大間原発は函館からの反対が大きいそうだ。昔、夜中のドキュメント番組で見たのだったか、建設予定地に土地を持っていて買収に応じなかった方のことを思い出す。土地取得を断念して炉心変更せざるを得なく、東日本大震災以降工事進捗率は37.6%で止まっている(2023年1月現在)。亡くなってしまったその方の土地にあるログハウスは娘さんが受け継いで今も住まれている。

原発のある地域から第3回〈青森県・大間町〉:下北「核」半島に建設中の「大間原発」はラスコーリニコフの斧か‐その1‐マガジン9

食堂で味噌ラーメンを食べた。冷えた体に沁みた。好きな味のやつ。翌日登るつもりの山の天気予報を見ると芳しくない。良くなりそうにもなく、今の方がよかった。そんなに山行時間が長い山でもないので、予定変更してこれから行くことにした。