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進行速度の遅い台風

やけに進行速度が遅く、進路が変わりやすい台風の低気圧のせいか今週はずっとだるさがあった。さっきまで頭痛があって、薬を飲んだらすぐに消えた。

昨日は3時半くらいまで眠れず、朝起きたら8時半くらいで、いつもより睡眠の質も悪く時間も短かった。

そういえば昨日の夜、オモコロの「『山月記』を読めなかった男が1年半ぶりにもう一度読む日」を読んだがおもしろかった。高校生の時に読み、数年前に青空文庫で読み返したとき振りに詳細に内容を思い出して、当時刺さった「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」という部分が、今読んでも刺さった。虎と対峙し立ち向かえているか?
Kindleで過去ハイライトしてたのはここだった。自分はここなんだよなぁ……

人生は何事をも 為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を 弄 しながら、事実は、才能の不足を 暴露 するかも知れないとの 卑怯 な 危惧 と、刻苦を 厭う怠惰とが己の 凡てだったのだ。
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午前中はiPadでSNSを見たり、本を読んだり、ベッドの上で過ごした。
温泉の日本史 - 記紀の古湯、武将の隠し湯、温泉番付」という本を2月くらいからだらだらと気が向いたときに流し読みしていて、これに出てきた「温泉案内: 鉄道省発行 昭和6年版」が気になってAmazonで探すと電子書籍復刻が180円だったので買った。大沢温泉(7月に訪れた)のページを見ると地図が載っていて、花巻駅から大沢温泉を通り鉛温泉方面と台温泉方面の2路線があったことを知った。「かつて花巻は東北で唯一路面電車が走るまちだった」とのことで驚いた。車で山道を登りただただ通り過ぎると気づきもしなかったが、廃線跡はいまも町に見られるよう。
花巻電鉄の思い出 | まきまき花巻 温泉案内中、大沢温泉のページ
「温泉案内(鉄道省発行 昭和6年版)」p788

ほかにも気になって調べてみるともう廃業していて宿は残っておらず、地名だけは確認できる温泉地もあった。

昼食はありものでナポリタン。ピーマン、ナス、玉葱、ソーセージ。

1時間ほど昼寝をして、どうしても行く気になれず直前にピラティスをキャンセル。今月は3回キャンセルしてしまった。
罪悪感を拭いたくて申し訳程度にランニングに出た。家を出たときから霧雨が降っていて、最初は「降っていてもしっとりとして気持ちがいい」と感じたがだんだん雨脚が強まってきた。びしょ濡れでびったり服がひっつきただただ不快だった。ピンクと紫の夕焼けの空に稲妻が光るのを見る。走ったのは7/3振りでかなりきつかった。そろそろ涼しくなるので再開したい。

帰宅即湯船に湯を張り入浴。オモコロを読んでから青空文庫の名作を読むのもいいなと思い、ダウンロードしてあった太宰治「恥」を読む。思い込み。若い頃の恥。上から目線で無駄な配慮。こういう経験が独りよがりを解放して、客観的視点、人間関係のいい塩梅を知っていくことにつながるのでは。

風呂上がり、1本だけビールを飲みながら先週末の余り物のチーズ、フムス、クラッカーをつまみにした。魚肉ソーセージ。あとふかしたじゃがいもに塩とマヨネーズ。少しずつ食べていたらそれでおなかいっぱいになった。まず、今日はあまりカロリー消費できていないのでこれくらいでよい。

読みかけだった太宰治「津軽」の続きを読んだ。

金木の生家では、気疲れがする。また、私は後で、かうして書くからいけないのだ。肉親を書いて、さうしてその原稿を売らなければ生きて行けないといふ悪い宿業を背負つてゐる男は、神様から、そのふるさとを取りあげられる。所詮、私は、東京のあばらやで仮寝して、生家のなつかしい夢を見て慕ひ、あちこちうろつき、さうして死ぬのかも知れない。
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こういう点は、石川啄木的だなと思う(この本にあったように)。そして「所詮、〜」以下、私もそうかもしれないと思う。

よい天気である。津軽の旅行は、五、六月に限る。れいの「東遊記」にも、「昔より北地に遊ぶ人は皆夏ばかりなれば、草木も青み渡り、風も南風に変り、海づらものどかなれば、恐ろしき名にも立ざる事と覚ゆ。我北地に到りしは、九月より三月の頃なれば、途中にて旅人には絶えて逢ふ事なかりし。我旅行は医術修行の為なれば、格別の事なり。只名所をのみ探らんとの心にて行く人は必ず四月以後に行くべき国なり。」としてあるが、旅行の達人の言として、読者もこれだけは信じて、覚えて置くがよい。津軽では、梅、桃、桜、林檎、梨、すもも、一度にこの頃、花が咲くのである。
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実感を持ってわかる、と思った部分。花の時期の津軽は美しかった。本当に最高だった。(今年の春の津軽旅行の記録がこれ

あと、酒の飲み方に親近感がわく。ビール、シードル、日本酒、あればあるだけ。泥酔して楽しくなっていく感じも。酒を持ち歩いて外で飲みながらひたすら歩いたりしてるし。(そんなシーンが書いてあったような)

気づいたら8月が終わっていた。
新しい仕事を始めたり結婚したりいろいろあってあっという間だった。
できるのか、とにかくやらなきゃ、という大きめの件がつねに心を圧迫してるがやるしかない。明日も休みだ。明日も雨らしい。